医療訴訟の流れ

医療訴訟の流れを分かりやすく解説しています

和解や判決

医療訴訟で裁判を行うと最終的な解決として、和解をするか、判決を受けるかのどちらかになります。和解というのは、裁判所が間に立ち、被告と原告の話し合いの場を設けます。そこで、お互いに話し合いをして、互いに譲歩した結果合意に至ることによって、和解が成立します。こうなれば、そこで裁判は終了します。
例としては、C型肝炎やB型肝炎の医療訴訟があります。こちらは国を相手にした医療訴訟で、和解に関する基本合意書が締結され、特別措置法が制定されています。

どうして和解という解決方法があるのでしょうか。たとえば、原告にとっては、このまま裁判を続けていき、自分が勝訴できるかどうかについて不安な気持ちが残ることがあります。上手く証拠を出すことができなかったり、医師の過失を証明することができないケースがあります。全面的に敗訴してしまえば、損害賠償金を受け取ることができなくて、医療機関側にはミスがまったくなかったと認められることになります。和解をすることによって、きちんと賠償してもらい、謝罪を得られることもあります。

和解という解決を認めない場合には、そのまま判決を受けることになります。判決の結果が言い渡されれば、そこで結果が決まります。勝訴すれば、損害賠償金を受け取れるのですが、敗訴すれば医療機関側に落ち度がなかったことが証明されます。判決の結果に不満がある場合は控訴することになります。

提訴と争点整理

医療訴訟ではまず最初に提訴をしなければいけません。原告が訴状を作成して、それを裁判所に提出します。訴状には請求の趣旨と原因について書かなければいけません。

請求の趣旨とは、原告が被告に対して何を求めているのかを書きます。基本的に、日本の裁判では金銭賠償によって解決されることが原則となっているため、請求の趣旨には具体的な損害賠償請求額を書くことになります。弁護士と相談をしながら、いくらの金額を請求するのか決めることになります。

請求の原因には、原告が請求をすることになった理由やその根拠を書きます。医療機関や医師がどのような過失をしたのか、またその過失によってどのような結果が生じたのか、そして、最終的にどのくらいの損害が生じたのかを説明しなければいけません。裁判所に送られた訴状は被告に送られます。

医療訴訟ではまず争点整理が行われます。争点整理とは、原告と被告のそれぞれの言い分を聞いて、どの点が一致していて、どの点に食い違いが生じているのかを明らかとします。言い分が一致していることに関しては、裁判で争う必要はありません。食い違いのある部分に関してのみ、裁判で審理されることになります。ここまでで、それぞれの主張が整理されます。

簡単な流れ

医療訴訟が具体的にどのように進行していくのかを解説しましょう。まず最初に提訴をします。これは医療訴訟だけではなくて、すべての民事裁判に共通することであり、裁判所に訴状を出して、それが受理されれば、裁判所から医療機関に訴状が送達されます。

訴状を提出してから1ヶ月あるいは1ヶ月半経過すると、第一回期日があります。この日に、被告である医療機関側は答弁書を出します。続いて、第二回期日からは原告と被告が準備書面を提出します。また、これら以外にも、必要に応じてカルテや医学文献、意見書といった書証を提出します。これらは証拠文書として扱われるものであり、裁判所が利用します。さまざまな書類をチェックして、被告と原告の言い分が一致しているかどうかを判断する争点整理が行われます。

争点整理の後には証拠調べが行われます。関係者が法廷で証言をします。それらはすべて記録されます。鑑定が行われることもあります。これは裁判所が選んだ専門家に意見を求めることです。書面や口頭で鑑定がされます。

裁判の途中で話し合いとなり、和解をするケースがあります。これは、双方が合意することによって成立し、もし和解となればそこで裁判は終了します。和解には両者にとってメリットがあります。最終的には判決となります。以上のすべての期間を合計すると、平均して2年以上かかります。

医療訴訟の流れとは

多くの人が医療訴訟を行う時代となりました。数十年前と比較すると、医療訴訟の件数はかなり増加しています。最近はそれほど顕著に増加の傾向が見られなくなり、件数は横ばいとなっていますが、それでも医療訴訟が盛んとなっていることには変わりありません。

医療訴訟はニュースで話題となることが多いのですが、多くの日本人は自分とは関係のないことだと考えています。そして、実際に自分が医療事故に巻き込まれてしまい、そこで初めて医療訴訟について真剣に考えるのです。このようなことをしていたのでは、患者は訴訟をするための活動をするのが遅れてしまい、不利になります。訴訟はできるだけ早く行った方が、証拠を集めるのに有利となります。

そもそも、医療訴訟以外の訴訟をしたことのないという方が多いでしょう。日本には民事裁判と刑事裁判の二種類があるという知識だけは知っていたとしても、それぞれが具体的にどのように進んでいくのかをきちんと理解していない人はたくさんいます。事前に知識として知っておくだけでも大切なことです。

いつ自分やあるいは大切な家族が医療事故の被害者となってしまうのかは分かりません。万が一の時のことを考えておいて、医療訴訟についての理解を深めておくことはとても大切です。そうすることによって、医療訴訟の流れを把握しておけば、実際に自分が当事者となった時に慌てないで済むでしょう。勘違いを防ぐことにもつながります。当サイトでは、医療訴訟の流れについて解説します。医療訴訟を理解する助けとなれば幸いです。